高い技術と精度を24時間フル稼動で提供する地域に愛される熱処理加工の便利屋。
「熱処理加工の便利屋になろう」。バブル景気が下火になった平成5年、隅谷社長は時代に逆らうように工場の24時間稼動を決意した。経費削減のために週休2日にする事業所が多い中、一見無謀とも思える発想。しかし地域に愛される企業をめざす同社にとっては、ニーズを追求した末の当然の流れだったのかも知れない。
代表取締役社長
隅谷哲三さん
| 八田工業株式会社 | |
| 〒599-8265 堺市中区八田西町2-18-40 |
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| TEL | 072-277-7227 |
| 創業 | 昭和 54年 5月 |
| 資本金 | 1,000万円 |
| 従業員 | 35名 |
| http://www.hatta.co.jp | |
八田工業 株式会社 本社屋
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| 開発から販売まで手掛ける「ZDP189」の製品例 |
夕方預かり・翌朝渡しを実現。製品は現品票で徹底管理。
創業以来、順調に成長してきた八田工業だったが、バブルのあおりを受けて仕事量が少しずつ減っていたある日。隅谷社長はひっそりと静まりかえった商店街で、唯一賑わっていた年中無休の店を見た。すぐに「開けていれば需要はある」と閃いた。実際に顧客の工場でつくられた製品が、夕方に持ち込まれるケースは多かった。24時間稼動すれば、夕方に注文が入った場合、翌朝には熱処理をして納品できる。これほど顧客にとって便利なことはないだろう。すぐに実践に移し、日曜・祝日もスタッフが常駐。「八田工業ならいつでも頼める」と信頼を広げていった。急いでいる顧客の場合、大半は小ロットだ。勤務は交代制のため、受注したスタッフが最後まで管理するとは限らない。そこで、どんなに小さな部品も見失わず、処理条件に応じて完璧に仕分けられるよう、一品一品に現品票を付けることにした。コンピュータに入力したデータの他、形状などは絵や文字ですばやく伝える。その場その場で、柔軟にデジタルとアナログを使いこなし、最短納期の実現に成功したのだ。
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| クリーンで安全な真空熱処理 |
独自のノウハウが光る熱処理技術。製品開発や産学連携も積極的に。
八田工業は、株式会社八田製作所の熱処理部門が分離独立。隅谷社長は創業時から、3Kと言わせない「クリーン、セーフティ、ヒューマニティ」を基本にしたものづくりをめざしていた。クリーンで安全性の高い真空熱処理に、早くから取り組んできたのもこのためだ。現在は、後処理の手間が省けるイオン窒化処理、切削加工やワイヤ放電加工までを幅広く提供。金属によって異なる加工方法、工程、処理時間など、豊富な経験とノウハウを蓄積してきた。刃物の熱処理においても、全国のカスタムナイフメーカーから高い評価を獲得。一本一本に付けられた品質保証のラベルは、愛好家の間でステイタスとされているほどだ。平成9年には、日立金属、ナイフメーカーとの共同研究によって刃物鋼スーパーパウダー合金「ZDP189」を開発。総発売元となり、販売にも着手した。平成13年に発売開始した「ZDP189三層鋼」とともに、世界中から高い評価を得ている。産学連携にも積極的に取り組んでおり、平成17年には、ワイヤカット通電コマの長寿命化において関西大学科学技術振興会 技術開発賞を受賞。平成18年には、大阪府立大学と機械金属6社による共同研究が、堺市の産学官連携共同研究開発事業の支援対象に採択された。「当社の方針は、一社当たりの売り上げウェイトを10%以上にしないそれに地域のお客様を大切にしているので、大儲けもしないが、大損もしない。これからも頼りにしてくださるお客様がいらっしゃる限り、私たちは継続していきます」。時代が変わろうと、「地域に愛される企業に」との信念が揺らぐことはない。


