独創のアイデアで新しい香りの市場を開拓。伝統を守りつつ変わり続ける創香の老舗。

創業以来290年もの間、常に新しい香りに挑戦。現社長もまた不易流行を信念に、形状や素材にこだわらず、さまざまな商品開発に挑んでいる。流行の火付け役となった「アロマセラピー香シリーズ」、多くの話題をさらった「花粉気香」、お香で花や人形を創る「お香クラフト」など、斬新なアイデアで時代をリード。新たな挑戦もすでに始まっている。

堺技衆・堺技衆・認証番号0038 株式会社奥野晴明堂 代表取締役 奥野浩史

代表取締役
奥野浩史さん

株式会社奥野晴明堂
〒590-0952
堺市堺区市之町東6-2-15
TEL 072-232-0405
創業 享保元年
資本金 1,000万円
従業員 22名
http://www.osenkou.com
奥野晴明堂の社屋

奥野晴明堂の社屋

お香クラフトの教室としても開放している蔵
お香クラフトの教室としても開放している蔵

ハーブのお香が大ヒット。癒しブームの火付け役に。

現在の社主である奥野氏で8代目を数える奥野晴明堂は、創業290年超を誇る香老舗。江戸時代より門外不出の調合帳を伝え、それを基に代々の社主が、時代に合った新たな香りを創り続けてきた。天然素材にこだわり、手作りで丁寧に創られる同社の商品は現在300種以上、年間3000万本以上が全国に流通している。いつの時代も線香は仏事と結びついてきた。しかし昨今は仏壇のある家庭が少なくなり、線香自体の需要が減ってきている。奥野社長は、「古いものに固執していては廃れるだけ。新しい商品を開発しなければ、生き残りはない」と、新しい香りだけでなく、新しいマーケットの創造も重要だと考えた。そして試行錯誤の末に誕生したのが、東洋と西洋の香りがドッキングした「アロマテラピー リフレシリーズ」だ。これは、ラベンダーやローズマリーといった癒し効果のあるハーブをお香にアレンジしたもの。三角形や花びらといった斬新な形を考えだし、お香立までセットにしたこの商品は癒しブームの火付け役となり、瞬く間に大ヒット。平成8年度、関西ニュービジネス協議会が主催するNBK大賞のマーケティング部門賞にも輝いている。

お香クラフトの普及や癒し効果の研究にも挑戦。

オフの時間も常に新しい香りを考え続けている奥野社長。お酒や松茸、カレーの香り、スギ花粉の症状を緩和すると言われる「花粉気香」など、次々に新しいお香の可能性に挑戦している。現在、力を入れているのが「お香クラフト」。これは古から伝わる練香をヒントにしたもので、いわばハーブ系のエッセンシャルオイルを使ったお香の粘土。花や人形などの作品づくりが楽しめる。香りのインテリアとして鑑賞でき、そのまま焚くこともできる。水で洗えるのも嬉しいポイントだ。当初は「お香の花」をインテリアグッズとして販売するつもりだったが、新しいクラフト文化になり得ると考え、素材としても使ってもらえるよう市場を開拓。カルチャー教室などで作り方をレクチャーし、普及に努めている。海外輸出のルートも開拓中だという。「日本の香り文化を残したい。そのためには、新しいものに挑戦していかなければ。革新の連続が伝統なんです」と力強く語る奥野社長。今後の課題は、香りが人体にどんな影響を与えるかといった医学的根拠を得ること。そのためには多くのデータが必要なため、産学連携で研究中だ。「理論武装をしたい。これが明かされれば、もっと需要は増えるはずです。将来、医療への応用もあるかも知れません」。奥野社長の新しい香りへの挑戦はまだまだ続く。

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