「消失模型鋳造」を業界に先駆けて実用化。独自のノウハウで新たな鋳物の可能性を開拓。

堺市内で創業し、5代目に当たる現社長まで、代々鋳造の技術を受け継いできた。かつては風呂釜や鍋・釜を製造。優れた技術と品質が認められ、軍艦の厨房で使用する蒸気炊飯用の二重釜も作っていたという。戦後は、時代のめまぐるしい変遷によって、依頼品もさまざまに変化。新しい技術にもいち早く熟達し、鋳造の新たな可能性を模索している。

堺技衆・堺技衆・認証番号0032 株式会社石川鋳造所 代表取締役社長 石川澄壽

代表取締役社長
石川澄壽さん

株式会社石川鋳造所
〒591-8013
堺市北区野遠町1-1
TEL 072-259-2661
創業 明治 24年 10月
資本金 1,500万円
従業員 30名
http://www.isix-foundry.com
消失模型鋳造法の鋳込み風景
消失模型鋳造法の鋳込み風景

模型と鋳物が置き換わる画期的な消失模型鋳造法。

一世紀以上に渡って鋳造一筋に取り組んできた同社だが、決して伝統だけにこだわってきたわけではない。時代の流れやニーズをキャッチし、常に新しい鋳造メーカーへの道をめざしてきた。そのひとつが、平成2年に装置を導入し、約3年をかけて実用化に成功した消失模型鋳造(ロストフォーム)だ。従来の鋳物製造法では、模型を砂に埋め、砂を固めてから模型を抜き取って鋳型を作る。この時、製品の一部を中空にするためには、中子(なかご)をセットしなければならない。次に鋳型に鉄などの溶けた金属を流し込み、固めて冷えたところで、鋳型を壊して鋳物を取り出す。工程が多く、手間がかかる作業を必要としていた。同社が早くから着目した消失模型鋳造法では、図面通りに成形した特殊な発泡スチロールの模型を使用。これに耐火塗型を湿布し、乾燥させてから砂の中に埋める。従来ならここで模型を抜き取るが、発泡スチロールが熱によって消失するため、このまま溶けた金属を注湯するだけですむ。模型と鋳物が瞬時に置き換えられる、まさに無駄のない技法だ。装置導入から実用化までに時間がかかったのは、砂の種類と配合、砂の中で溶けた発泡スチロールから発生するガスの吸引スピードを試行錯誤していたからだ。何度も試作を繰り返し、安定した品質の製品ができるようになったという。

メリットの多い新技法ならトータルでコストダウンに。

消失模型鋳造法のメリットは、作業効率の向上だけではない。中子を必要とせず、どんなに複雑な形状でも製造することができる。従来は鋳物を取り出してから機械加工が必要だったが、これなら模型の段階で組立部分を一体化しておけばいい。機械加工費が大幅に削減できる。「鋳肌が非常に美しく、寸法の精度も高い。バリを削る必要もありませんし、直角もきれいに出ますよ」と石川社長。砂もリピートして使えるため、砂を一回ずつ捨てずにすむ。焼き付いたパウダー状の砂が作業場に舞うこともない。ただ発泡スチロールの模型だけを見れば、従来に比べてコストは高くなる。これまで目方(重量)で価格を決めていた業界だけに、画期的な製造法についてこられない企業も多い。「模型のモデュラータイプを作っておけば、細かいアレンジにすぐ対応できます。納期も短縮し、品質も向上しますから、トータルで考えれば必ずコストダウンになります」と、石川社長は胸を張る。現在は工業用ミシンのボディや複雑なバルブなどを、新しい鋳造法で製造。時間をかけて研究開発した独自のノウハウだが、同社だけで取り込むつもりはない。CAD/CAMによる模型設計から仕上げまでをマニュアル化し、社外にも公開したいという。「この技法を普及させて、鋳物産業をもっと活性化したい」というのが、同社の偽らざる思いだ。

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