デザインから検品まで料理包丁を一貫生産。熟練の技と勘を駆使したこだわりの「ものづくり」。
父の跡を継ぎ、芦社長が刃物製造を始めたのは昭和41年のこと。昭和55年に法人化し、料理包丁やカスタムナイフ、篆刻刀などの自社ブランドを次々に発表。伝統の技を守りながらも、常に新しい試みに挑戦している。また芦社長自身が取り組んでいる鍛鉄作品も、注目を集めているところだ。
代表取締役社長
芦 博志さん
| 有限会社芦刃物製作所 | |
| 〒590-0912 堺市堺区並松町14番地 |
|
| TEL | 072-229-4920 |
| 創業 | 昭和 23年 |
| 資本金 | 900万円 |
| 従業員 | 6名 |
| http://www.ashihamono.com | |
![]() |
| 熟練の技が包丁に命を吹き込む |
機械加工と熟練の技を使い分け、安定した品質を提供。
昨今、刃物業界では分業化が進んでいるが、「安定した品質が保てない」という理由から、有限会社芦刃物製作所では今もデザインから生産、検品、箱詰まで、全てを社内で行っている。洋包丁の材料には、高硬度で鋭い切れ味を可能にするスウェーデン・ステンレス鋼を使用。さまざまな材料を試した結果、ここに辿り着いたという。材料により、機械加工と熟練の技を使い分けているのも、鉄と火を知り尽くしているからこそ。刃物の製造には、大きく分けて鍛冶、研ぎ、柄付けのプロセスがあるが、芦社長が一番気をつかっているのは、品質を左右する温度管理だ。「炉の温度は温度計で測れますが、刃物自体の温度は目でしか確認できません。行程が進むごとに温度を下げていかなければならないので、勘に頼る部分も非常に多いですね」と芦社長。材料のバラツキもあるため、完成した包丁は目視と合わせて、硬度計や金属顕微鏡で厳しくチェック。品質検査をパスした商品だけを、丁寧に箱詰していく。
![]() |
| 2009年「第40回 花と彫刻展」出品作品 |
オリジナルブランド開発や鍛鉄工芸にもチャレンジ。
創業以来OEM(相手先ブランド)生産を中心にしてきたが、現社長の代になってからオリジナルブランドも生産し始めた。それが、「銀香」、アウトドアナイフの「LOGナイフ」シリーズなどだ。ナイフについては流通ルートを知らなかったので、専門雑誌にサンプルを送ってアピール。すぐに編集者が新商品コーナーに取り上げてくれ、全国から注文が殺到したという。「銀香」は種類も豊富な主力商品だ。販売網のひとつとして、日本の刃物が人気だという全米にも注目。アメリカ在住の友人と協力し合って、販売していくつもりだという。芦社長の新しい取り組みは、刃物製造を超えたユニークなもの。それが、熱処理に熟練した鍛造技術を利用した鍛鉄工芸(ロートアイアン)だ。「料理包丁はデザインといっても、ほぼ行き着いています。別の展開を探っていた時に出会ったのが、鍛鉄工芸なんです」。イスラエルのキブツにある鍛冶屋の学校で10日間学び、帰国後さっそく作品づくりにチャレンジ。作家一年生にして、堺市展の協会賞をはじめ、さまざまな賞に輝いた。「最初の作品から賞をいただいたので驚きました。大阪彫刻会議にも参加させていただいて、いつの間にか彫刻家の仲間入りをしていた自分にびっくりしています」と語る。彫刻家としての目下の目標は、誰でも気軽に鍛鉄工芸が体験できる教室を作ること。地元の人だけでなく、観光客にも間口を広げて堺市のアピールにつなげたいという。刃物のオリジナルブランド開発や販売とともに、今後の展開がますます楽しみだ。


